まず、やれることから情報をオープンに。体験入社率100%のLang-8が語る、採用のミスマッチを防ぐ方法

【体験入社事例】株式会社Lang-8

「世界中のネイティブスピーカーの知と経験の共有」をビジョンに、外国語について分からないことを気軽にネイティブスピーカーに質問できるQ&Aサービス「HiNative」を開発、運営する株式会社Lang-8。「HiNative」は、全世界110言語を取り扱い、480万人のユーザーさんが利用しています。

そんな同社は、体験入社率100%。従業員12名が全員体験入社を行い入社に至っています。体験入社のほかにも、食事会の開催、職場見学、採用資料の公開など、求職者に対して情報をオープンにすることを積極的に行っています。

今回は、情報をオープンにする理由や、体験入社のメリットについて、代表取締役社長の喜さま、人事部長の佐々木さまにお話しを伺いました。

企業情報

VISION

世界中のネイティブスピーカーの知と経験の共有

従業員数

12名

設立

2007年6月

目次

▶ 採用で大事にしていること

▶ 体験入社を行う、3つのメリット

▶ まず、やれることから情報をオープンに。採用のミスマッチを防ぐ方法

■採用で大事にしていること

【体験入社事例】株式会社Lang-8、喜さま、佐々木さま

― まず、採用で大事にしていることをお伺いできますでしょうか?

喜さん:はい、最も大事にしていることは、会社のカルチャー、メンバーとのコミュニケーションのマッチングです。

スキルのマッチングも大事ですが、スキルがものすごく高くても、カルチャーにフィットしない場合は、採用しません。

― なぜ、そのように考えているのでしょうか?

喜さん:スタートアップで、ミスマッチ採用をしてしまうと、プラス0ではなく、マイナス100になる可能性が高いからです。

そうすると、採用した企業、採用された方のお互いにとっていいことがありません。このようなことが発生しないように、弊社では体験入社を行っています。

■体験入社を行う、3つのメリット

【体験入社事例】株式会社Lang-8、佐々木さま

― なぜ、体験入社を始めたのでしょうか?

喜さん:面接だけで分かることは、かなり少ないと感じていたからです。

― 冷静に考えて面接だけですと、合計2時間くらいのコミュニケーションなので、お互いを正しく理解できることが不思議ですよね。実際に、佐々木さまは体験入社を行い入社していると思いますが、求職者側の視点から体験入社はどうでしたか?

佐々木さん:私は、転職先を決めるにあたり、「会社の雰囲気」「どんな人が働いているか」ということを大切にしていました。Lang-8は、体験入社があったので、それをしっかり確かめることができてよかったです。他の会社さんは、面接と適性検査のみで、「会社の雰囲気」「どんな人が働いているか」を納得いくまで確かめることはできませんでした。

― ちなみに、従業員のみなさんは、全員体験入社を行っているのですか?

喜さん:はい、体験入社率100%です(笑)。

メンバーは、「体験入社をやらないで、入社を決めることはありえないです」と言っています。そう思うと、体験入社をやらない理由はないですね。

― 確かに、やらない理由はないですね。そんな体験入社のメリットはなんでしょうか?

喜さん:お互いにとってのメリットは、3つあると考えています。

1つ目は「比較的適正な給与提示」

2つ目は「カルチャーフィットの確認」

3つ目は「スキルフィット の確認」です。

― 1つ目の「比較的適正な給与提示」から、詳しくお伺いできますでしょうか?

喜さん:はい、体験入社を行わない場合は、面接や経歴の情報を元に給与が提示されると思います。この場合、実際のスキルに対して給与が低くかったり、高かったり、給与が適正化されない可能性が発生します。しかし、体験入社を行うと実際のスキルの確認ができるので、比較的適正な給与提示ができます。これは、求職者、企業のお互いにとって大きなメリットです。

― プロスポーツ選手と違い、スキル情報がオープンになっていない中途採用は、体験入社を行うことにより、比較的適正な給与提示ができますね!次に「カルチャーフィットの確認」について、お伺いできますでしょうか?

喜さん:私たちはスタートアップなので「許可より謝罪」を大事にしています。どういうことかと言うと、後出しで怒ることは絶対にしないのでスピード感を重視し良かれと思ったことはどんどん進めるのを推奨しています。また、まだまだカッチリ決まってないルールとかも多いし変化も速いので「曖昧耐性」を大切にしています。それと「攻撃的ではなく、温厚な人」ということも大切にしています。このような要素にフィットするかを体験入社でのコミュニケーションで確認しています。

佐々木さん:あと、弊社はリモートワークも積極的に行っているのですが、リモートワークをしているみんなの顔が見えるようにビデオシステムを活用しています。そもそも、そのようなビデオシステムが苦手などといったことも、体験入社で分かることがあります。

― 次に「スキルフィット の確認」について、お伺いできますでしょうか?

喜さん:スキルフィット は、タスクを出すことにより確かめています。エンジニアの場合は、実際にPull Requestを出してもらっています。そして、タスクにかかった時間や実際のコードの内容、Slack等でのコミュニケーションを見て判断しています。

― タスクは誰が考えているのでしょうか?

喜さん:現場の担当チームが考えています。スキルを確かめることも現場で行っており、担当チームがOKを出せばOKです。

― 実際にミスマッチは無くなっていますか?

喜さん:明らかに入社後のミスマッチは激減しています。しかし、体験入社だけをすればいいという訳ではないです。入社後のフォローも大切です。

体験入社を行い、たとえ求職者の方が辞退したり、採用に至らないことがあっても、それはそれでポジティブだと考えています。入社後にミスマッチが発覚するより、お互いにとっていいことなので。

― 入社後にミスマッチが発覚することは、お互いにとって本当につらいですよね。それでは、体験入社のスケジュール例を教えていただけますでしょうか?

佐々木さん:スケジュール例は次の通りになります。

【体験入社のスケジュール例】

10時 朝のミーティングへの参加、挨拶

【体験入社事例】株式会社Lang-8、スケジュール例、ミーティングの参加

11時 会社についての説明

12時 メンバーと美味しいランチ

【体験入社事例】株式会社Lang-8、スケジュール例、ランチ

13時 タスクの実施

【体験入社事例】株式会社Lang-8、スケジュール例、タスク実施

17時 代表の喜との面談

19時 終了

【体験入社日数について】

半日~1ヶ月。求職者の方の希望と状況に合わせて実施しています。
在職中で長い時間の参加が難しい方は、仕事が終わった後や半日だけ、職場見学やランチをして、タスクはリモートで行うこともできます。

■まず、できることから情報をオープンに。採用のミスマッチを防ぐ方法

【体験入社事例】株式会社Lang-8、喜さま

― 採用のミスマッチを解決したい採用担当の方へ、メッセージをお願いできますでしょうか?

喜さん:まず、やれることから情報をオープンにすることが大事です。いきなり完璧な体験入社をやる必要はありません。私たちも最初は、コードを書いてもらうことや職場見学から始めました。

職場見学、メンバーとのランチ、懇親会・食事会へのお誘いなど、まず、やれることをやってみた方がいいと思います。

なぜなら、採用のミスマッチは、「仕事内容の情報」「一緒に働くメンバーの情報」「労働環境の情報」を入社前にしっかりと確認できなかったことにより、イメージとのギャップが生まれ起こるからです。

まず、やれることから情報をオープンにすることをおすすめします。

【体験入社事例】株式会社Lang-8、食事会

☆月1回の食事会に、会社に興味をもってくれている方をお誘いし参加していただいている様子

― メッセージありがとうございます!「まず、やれることから情報をオープンにする。」いきなり完璧なことをやろうとせずに、やれることからやることが採用のミスマッチを防ぐ第一歩になりそうですね!本日は、ありがとうございました!

■取材後記

【体験入社事例】株式会社Lang-8、犬

体験入社率100%の株式会社Lang-8。入社後のお互いのために採用のマッチングにこだわり、今までに50名以上の体験入社を行ってきた経験から、深いお話しを伺うことができました。その中でも印象的だったのが、「まず、やれることから情報をオープンにする。」ということでした。

「情報をオープンにする」

なぜ、情報をオープンにすることが重要なのか、「1次情報」を取得することにより、採用のミスマッチを防げるからではないでしょうか。(※1次情報とは、目・耳・鼻・口・皮膚の五感で、本人が直接体験して手に入れた情報。一方、2次情報とは、他者を通して得た情報。具体的には、自分で直接確かめた社風や人間関係は1次情報で、転職サイトや口コミサイトを通して確かめた情報は2次情報。)「体験入社」「職場見学」「メンバーとのランチ」などで、1次情報を取得できる機会を提供すれば、採用のミスマッチは激減します。

「まず、やれることから」

いきなり完璧な状態で始めることは難しいですが、まず、やれることはどこの企業にもあるのではないでしょうか。「体験入社」は今すぐにできないが、「職場見学」「メンバーとのランチ」ができるのであれば、喜さまも言っていたように、まず、やってみることが大切です。

今後、求職者に対して「1次情報を取得できる機会の提供」は、どんどん進んでいくと考えています。なぜなら、求職者と企業のお互いにとって採用のミスマッチを防げるというメリットがあるからです。これは、株式会社Lang-8の経験からも証明されています。

もし、あなたが求職者だったら、1次情報を取得できる企業とできない企業、どちらがいいでしょうか。

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(取材・撮影/体験入社事務局 取材チーム)

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