社員満足度日本一のChatworkが、体験入社を行う3つの理由とは?
クラウド型ビジネスチャットツール「Chatwork(チャットワーク)」を開発・運営する、Chatwork株式会社。社員満足度日本一(リンクアンドモチベーション調査)に輝いたことでも知られています。
そんな同社は、設立当初から採用選考に体験入社制度を導入することにより、採用のミスマッチを防ぎ、社員の満足度・定着率を高めています。
なぜ、体験入社を行っているのか、体験入社の内容、さらには体験入社を経験された方の感想について、コーポレート本部・人事マネージャーの内田さま、体験入社を経験し2019年4月に入社された事業推進本部・事業サポート部の本田さまにお話しを伺いました。
企業情報
Mission
働くをもっと楽しく、創造的に
従業員数
114名(2020年3月末日時点)
設立
2004年11月11日(創業 : 2000年7月15日)
目次
▶ 中途採用で大切にしていること
▶ 体験入社を行う3つの理由
▶ 1日体験入社のスケジュールについて
■中途採用で大切にしていること
― まず、中途採用で大切にしていることをお伺いできますでしょうか?
内田さん:そうですね。大切にしているのは「会社全体で採用に携わる」ということです。そのため、人事が中心となり採用を行うのではなく、現場が中心となり採用を行います。
現場も自分たちのプロジェクトを達成するためには、人材を採用することが重要という意識を持っており、採用は人事がやってくれるものという感じではなく、現場のメンバーが主体的に採用に携わっています。
― なぜ、そのような環境を創れているのでしょうか?
内田さん:採用選考に体験入社制度を導入していることが大きいかもしれません。
体験入社は、求職者の方が選考を受けている部署で1日行われます。マネージャーが課題の準備をして、求職者の方に課題解決案を考えていただき、最後には発表をしてもらいます。解決案を考える際は、情報収集のために現場のメンバーにヒアリングをします。また、ランチもメンバーと一緒にいき、ざっくばらんな話しをしたりします。このように、体験入社では、現場のメンバーが求職者の方と関わる機会が多いです。体験入社は採用選考の過程でもあるので、メンバーが自然と選考に携わる環境になっています。そのため、体験入社された方に内定が出たら、メンバーも盛り上がり喜び、一緒に働くことを楽しみにしています。
― どのタイミングで、体験入社を行うのでしょうか?
内田さん:基本的には、次の流れになっています。
・書類選考
・1次面接(部門のマネージャーが行い、主にスキル面などの判断をします)
・2次面接(人事が行い、主にカルチャーフィットと入社後にキャリア形成をできるか判断します)
☆1日体験入社(2次面接合格後、日程を調整し体験入社を行います)
・最終面接(社長と募集部門を管掌する役員が行い、体験入社の内容も踏まえ、選考結果を判断します。基本、体験入社と同日に行います)
― 2次面接合格後に体験入社を行うのですね。それでは、体験入社を行っている理由についてお伺いできますでしょうか?
■体験入社を行う3つの理由
― いきなりですが、正直、体験入社を行うのは面倒ではないですか?
内田さん:そうですね。短期的に考えたら体験入社は面倒なのかもしれません。なぜなら、体験入社を行う部署では、マネージャーが課題の準備と、1日フォローを行います。また、現場のメンバーもサポートを行うからです。
― 結構、大変そうですね、、それなのになぜ、体験入社を行っているのでしょう?
内田さん:はい。それには、3つの理由があります。
1つ目は、会社全体で採用に携わる環境を創れるからです。
先ほど、中途採用で大切にしていることでもお話しさせていただいた内容になりますが、体験入社では、マネージャーが1日フォローを行い、現場のメンバーもサポートを行います。そのため、体験入社された方に内定が出たら、メンバーも盛り上がり本気で喜びます。このように、現場が主体的に採用に携わる環境を体験入社を通じて創れています。
― 普通であれば採用に携わるのは、人事やマネージャーだけですが、体験入社を通じて現場のメンバーも携わる環境を創れているのですね!それでは、2つ目の理由をお伺いできますでしょうか?
内田さん:2つ目は、エンゲージメントを高め、離職率を低くできるからです。
体験入社を行うことにより、採用のミスマッチを防ぎ、エンゲージメントを高め、離職率を低くできます。企業と求職者の双方がマッチングを確かめた上で採用に至るからです。最近では、従業員のエンゲージメントを高める施策を行っている企業も増えていますが、エンゲージメントを高めるには、入社後の施策よりも、入社前の施策の方が重要であると考えています。
※従業員のエンゲージメントとは・・・企業と従業員が信頼し合い、互いに貢献し、成長の方向性が連動する概念です。「従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲」と、世界有数のコンサルティング会社「ウイリス・タワーズワトソン」は定義しています。
― 体験入社では、どのようにマッチングを確かめているのですか?
内田さん:当社のMissionは「働くをもっと楽しく、創造的に」です。Missionを実現するために大切にしているValueが5つ(Chatworkが大切にしている5つの価値観)あります。
【Values】
・自然体で成果を出す
・いつも心にユーモアを
・オープンマインドでいこう
・ユーザーに笑顔を
・自分ごとで行動する
Valuesが当社のカルチャーを創り上げています。採用のミスマッチを防ぐためには、カルチャーにフィットするかを見ています。体験入社では、1日を一緒に過ごし、課題に本気で向き合ったり、ランチをしたりするので、求職者の自然体の姿を見ることができます。そういった姿を通じて、カルチャーにフィットするかを確かめることができます。面接だと1回1時間ほどのため、なかなか求職者の自然体の姿を見ることが難しいですが、体験入社では見ることができます。
― 1日を一緒に過ごしたら、1時間の面接では見れない姿が多く見れそうですね!その他、確かめていることはありますか?
内田さん:はい、もう一つ重要なことを確かめています。
それは、スキルのマッチングです。
本田さん:アスリートであれば、経歴書に記載してある経歴・実績と実際のスキルはマッチしていると思います。しかし、求職者の場合は、それがマッチしていないことも考えられます。そもそも、職務経歴書は自己申告ベースなので、本当のスキルを把握すること自体が難しいと考えています。
内田さん:体験入社では、課題を出させていただきます。「情報収集~分析~課題解決案の発表~フィードバック」を1日かけて行いますので、課題を通じて実際のスキルをだいたい把握することができます。課題は、選考ポジションに合わせたレベルの内容をマネージャーが作成します。
― 1日がけの課題であれば、だいたいのスキルを確かめられそうですね!ちなみに、お2人とも入社前に体験入社を経験されていると思うのですが、求職者としては、どのようなことを確かめましたか?
内田さん・本田さん:そうですね。確かめたことは「社内の雰囲気・一緒に働くメンバーの雰囲気」「マネージャーとメンバーの関係性」「自分の本気度」などですね。
やはり、社内の雰囲気・一緒に働くメンバーの雰囲気は転職の際に気になっていました。体験入社では、社内で1日過ごしたり、メンバーの方とランチをしたりするので、雰囲気はとても理解することができました。
マネージャーとメンバーの関係性も気になっていました。マネージャーとメンバーのコミュニケーションを見れば、会社の本当の雰囲気がわかるとも思っていました。そのため、体験入社中は、メンバーの方がマネージャーへ相談している姿をチェックしていました。実際、マネージャーがメンバーからの話しをしっかりと聴き、丁寧なコミュニケーションを取っている姿を見て、マネージャーとメンバーの関係性の良さを確かめることができました。
あとは、体験入社を行うと自分の本気度が確かめられ、本当にこの会社に行きたいかわかります。入社後と近しい環境を1日体験できることや、自分で生の情報を得られることにより、本気度を確かめられます。普通の採用選考であれば、キャリアアドバイザーやリクルーターからの情報、1回1時間ほどの面接の情報をから判断しなくてはなりません。しかし、体験入社では、入社後と近しい環境を1日体験できることや、自分で生の情報を得られることにより、自らの意思で判断することができます。
― 企業、求職者ともに、確かめられる有意義な情報がたくさんありますね!
内田さん:はい、あります。企業と求職者の双方が、体験入社を通じてマッチングを確かめられるので、内定辞退も少ないですし、入社後にあわなかったから辞めるということがありません。結果、入社後のエンゲージメントは高く、離職率も低くなっています。
― ありがとうございます!2つ理由をお伺いし、すでに体験入社の良い所をとても実感できたのですが、3つ目の理由もお伺いできますでしょうか?
内田さん:3つ目は、人事が本来の仕事に集中できることです。
― 人事の本来の仕事とは、なんでしょうか?
内田さん:人材を採用し、採用した人材の「入社後のキャリア形成」「強み・能力を発揮できる環境創り」に注力することだと考えています。
― なぜ、体験入社を行うと本来の仕事に集中できるのでしょうか?
内田さん:体験入社を行うと、退職に関わる手続きの時間が減り、本来の仕事に集中する時間ができるからです。
退職に関わる手続きは、退職面談、社会保険などの事務手続き、PC・メールアカウントの停止などが発生すると思います。そして、最も時間がかかるのが、退職した人材の欠員補充をするための採用活動です。退職に関わる手続きに時間を使うより、体験入社に時間を使う方が、退職が減り本来の仕事に集中できる時間ができます。体験入社に時間を使う方がとても有意義です。また、退職に関わる手続きは時間だけではなく、費用も掛かるので費用面でも効率的です。
― なるほど、体験入社を行うと良いサイクルになりますね!しかし、体験入社を一時期行っていなかったと聞いたのですが、本当でしょうか?
内田さん:はい、2016年頃に事業拡大する際に、採用人数も一気に増やしました。その際、社員を増やすことに集中していたので、体験入社を行いませんでした。
― やはり、やっていない時期があったのですね!!体験入社をやらないとどうでしたか?
内田さん:失敗から学ぶことができました。
この時期に入社したメンバーは、スキルやカルチャーのミスマッチが多く、離職が体験入社を実施していたときよりも増えました。そして、欠員補充のために、再び採用活動を行うので、時間と費用が大きくかかりました。この失敗を通じて、体験入社の大切さを改めて実感し、それ以降はずっと体験入社を継続しています。
― そうなのですね。体験入社の導入を検討している、もしくは採用のミスマッチに頭を抱えている、人事担当の方へメッセージはありますか?
内田さん:体験入社の導入は、最初は面倒かもしれません。
しかし、先ほどもお伝えしたとおり、退職に関する手続きに使う時間を考えると、体験入社に使う時間の方がよっぽど有意義ですし効率的です。エンゲージメントを高め、離職率が下がり、採用した人材の「入社後のキャリア形成」「強み・能力を発揮できる環境創り」に注力することができ、人事としての価値を高めることもできます。
― メッセージ、ありがとうございました!次は、1日体験入社の具体的流れについて、お伺いさせてください。
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■1日体験入社のスケジュールについて
― 1日体験入社の具体的なスケジュールついて、教えていただけますでしょうか?
内田さん・本田さん:はい、体験入社は基本的には、次のようなスケジュールになります。
※募集部門によって多少時間の変動があります。
10時 挨拶、紹介
内田さん:全員の前で挨拶をしていただきます。1日フォローをしてくれるマネージャーより、体験入社される方のことを紹介いたします。
10時30分 本日の流れを説明・オフィス見学
内田さん:マネージャーより1日体験入社の流れを説明いたします。その後、オフィスの見学や説明をさせていただきます。
11時 自己紹介シートの記載
本田さん:自己紹介シートを記載いただきます。自己紹介シートには、任意で趣味なども記載いただき、シートの記載が完了したら社内チャットで共有をします。同じ趣味のメンバーがいたら盛り上がったりします。私の場合はギターが好きで、それをシートに記載したら音楽好きの方が盛り上がっていたみたいです。部活が多くあるので、この情報を元に入社後に部活に勧誘されたりすることもあります(笑)。
11時30分 課題の共有、課題解決のための情報収集
本田さん:選考を受けている部署で1日過ごしていただきます。課題は部署で実際に抱えている問題を出させていただくことが多いです。そのため、課題解決のための情報収集は、業務をしているメンバーへヒアリングを行ったりします。
13時 会社の近くでランチ!
本田さん:13~14時が基本のランチタイムになっています。部署のメンバー2~3人と一緒にランチに行きます。一緒に働く可能性があるメンバーから生の声を聞くことができます。「会社の雰囲気はどのような雰囲気か」「実際の業務内容はどのような内容か」などを聞くことができます。また、ランチは仕事中よりもリラックスした状態なので、お互いに自然体の姿を確かめることもでます。私は、課題の内容が想像していたより濃かったので、ランチ中も課題のことで頭がいっぱいでした(笑)。
14時 課題解決の発表準備、メンバーに相談
本田さん:情報収集した内容を分析し解決案を考えます。解決案がまとまってきたら、メンバーに相談をして、解決案をブラッシュアップしていきます。
16時 課題解決の発表
本田さん:解決案をマネージャーに対して、発表をしていただきます。発表後には、しっかりフィードバックがあります。場合によっては、再度、発表を行うこともあります。
17時 最終面接
本田さん:課題解決の発表が終わりましたら、最終面接になります。最終面接の内容、体験入社の内容を踏まえ、選考結果が2~3日後に連絡がきます。
18~19時 終了!
内田さん・本田さん:体験入社のスケジュールは以上のような感じになります。
― 体験入社のスケジュールを教えていただき、ありがとうございます!体験入社をされる方が、何か気をつけることはありますでしょうか?
本田さん:普段通りの自然体の姿で行うことが大切だと思います。
私の場合は、普段より早起きをしたら、ランチ後に睡魔が襲ってきたので(笑)普段通りが大切だと思います。体験入社の目的も、お互いの自然体の姿を確かめることにより、スキルやカルチャーのマッチングを確かめることなので。あえて言うなら「自分でも入社するかどうか選ぶ」という意識は、持った方が良いかもしれません。そうすれば、自分にあっているかをしっかり確かめた上で、自らの意思で入社の判断ができます。
― とりつくろったとしても1日過ごしているとボロがでそうなので、自然体が一番ですね!最後に、体験入社をした感想をお伺いできますでしょうか?
本田さん:正直、初めは体験入社があることは敷居が高いと思っていました。一方、前職では入社してきた社員の方が、入社後にスキルやカルチャーのミスマッチが発覚し、会社と本人の双方が困っている現実を見ており体験入社の必要性は感じていました。そして、実際に体験入社をして、さらに必要性を感じました。
今は、体験入社は珍しいですが、数年後にはあたりまえになっている可能性があると思います。スキルやカルチャーがミスマッチの状態で入社してしまうと、会社と本人のお互いが本当に大変です。体験入社を行えば、それを解決することができます。
― 確かに今は、体験入社は珍しいですが、これからはあたりまえになるかもしれないですね。有効求人倍率が過去最高水準の今、労働人口の減少が確実に発生する未来を踏まえると、採用人数の確保は難しくなり、採用人数の確保より採用した人材の離職率を下げ、定着率を向上させることが重要になってくるはずです。そうなると、体験入社は必要不可欠になりますね。あとは、シンプルに体験入社を行った方が、企業も求職者も幸せになれますしね!本日はお忙しい中、ありがとうございました!
■取材後記
社員の離職率が低く、社員満足度日本一にも輝き、事業も大きく成長しているChatwork株式会社。今回の取材を通じて、その理由がわかった気がします。採用が事業を成長させるためには重要であることを会社全体で認識しており、現場のメンバーからマネージャーまで会社全体で採用に携わっています。そして、採用におけるお互いのマッチングをとても大切にしています。それを体験入社制度を通じて実現していました。そんな体験入社制度ですが、次のような良いスパイラルが起きるてることを感じました。
・お互いがスキル・カルチャーのマッチングを確かめて入社
↓
・エンゲージメントが高い
↓
・離職率が低い
↓
・人事が「入社後のキャリア形成」「強み・能力を発揮できる環境創り」に集中できる
↓
・社員満足度が高い
↓
・成果が創出される
今回の取材で印象に残っているのが、人事総務部の内田様のお言葉でした。『退職に関する手続きに使う時間を考えると、体験入社に使う時間の方がよっぽど有意義ですし効率的です。エンゲージメントを高め、離職率が下がり、採用した人材の「入社後のキャリア形成」「強み・能力を発揮できる環境創り」に注力することができます。』これが、人事の本質であり、未来の人事に必要な考えなのかもしれません。
体験入社事務局
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(取材・撮影/体験入社事務局 取材チーム)
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