職場だけでなく、Slackのやりとりも。アジアクエストが考える求職者への良い情報提供とは?
「アジアの注目企業100」に選ばれたアジアクエスト株式会社。同社は、IoT・AI等の先進技術を駆使し、お客様のデジタルトランスフォーメーションを支援するテクノロジー専門家集団です。
採用に力を入れており、2012年の設立から7年で従業員数が4名から191名に右肩上がりで増加しています。しかし決して順風満帆だったわけではなく、試行錯誤をしながら現在の社員数を実現したとの事。
今まで行ってきた採用の試行錯誤について、人材領域に約10年携わっている、取締役人材企画本部長の屋野(オクノ)さまにお話を伺いしました。
企業情報
理念
時代の変化の中に、無限の機会を見出し、そこに価値を提供していくこと
従業員数
国内191名 海外55名(2019年8月現在)
設立
2012年4月
目次
▶ 採用は試行錯誤の連続
▶ Slackのやりとりをシェアする理由とは?
▶ 採用において大切な2つのこと
■採用は試行錯誤の連続
― 設立当初、採用はどのように行っていたのでしょうか?
屋野さん:設立当初は、社長の桃井が1人で面接をしていました。応募者の方の負担を考えて、面接は1回でしたね。その後人数が増えていく過程で、社長とエンジニア、社長か部長とエンジニアというように面接官の組み合わせが変わってきました。
― 採用は常にうまくいっていましたか?
屋野さん:人数は順調に増えていたので、上手くいっていたという事も出来るかもしれません。
しかし、配属先のメンバーからは「なんでこのタイミングで、この人が採用されたのだろう」という採用のミスマッチに関する不満の声を聞く事が何度かありました。
社長や部長、あとは数人のメンバーだけが面接を担当していたので、現場の想いとのギャップがあったと思います。
― 確かに、現場のメンバーからしたら急に新しいメンバーが来ても「なんでこの人が来たのだろう」という気持ちは発生しますね。この課題は、どのようにして解決したのでしょうか?
屋野さん:採用の主体を社長や部長から現場に移し、配属先のメンバーが採用に携わる仕組みを作りました。
現場のメンバーが書類選考や面接に携わるので、各チームが主体的に採用に携わるようになり、「なんでこの人が来たのだろう?」という声は少なくなりました。
求人原稿の制作や、採用した方の入社後のフォローにも力を入れてくれるようになりましたね。
― 具体的には、どのようにして採用に携わる環境をつくったのでしょうか?
屋野さん:Slackに採用に携わる環境を整えました。採用職種やエリアなど様々な切り口で採用専用のチャンネルを作っています。チャンネルには、採用予定の部署のマネージャーやメンバーなどが参加しています。
― そのチャンネルでは、どのようなやりとりをしているのでしょうか?
屋野さん:求人票・求人原稿の作成や確認もこのチャンネルを中心に行っています。どのような人材が欲しくて、その人材に対して何をアピールすれば良いのか、人事と現場が一緒に進めていますね。現場から「求人のここを直した方が良い」というアイディアをもらう事も多いです。
― 現場のメンバーは通常業務を行いながら採用活動を行うのは、正直大変だと思うのですが何か気をつけていることはありますか?
屋野さん:はい。採用に携わりたいと思ってもらえる状態を維持する事を意識しています。Slackを選択したのも、メンバーが使いたいツールだからです。
また、忙しい中対応してくれる事に感謝をしたり、選考結果をしっかりシェアすることも大切だと思っています。
人事も現場も一緒に新しい社員の入社を喜べる場を作れれば、携わりたいと思ってくれる人は自然と増えていくと思っています。最近では「採用で使う会社紹介資料を刷新しましょう!」という提案が現場からあり、有志のプロジェクトチームで制作を開始しています。
― 現場が主体的に採用に携わる環境つくりについて、ありがとうございました!その他、よりよい採用をするために、試行錯誤していることはありますか?
屋野さん:今の採用手法がベストだと思っていないので、常に試行錯誤をしています。
1次面接官を社長にしてみたり、入社後にギャップが生まれないように職場見学やカフェスペースにいるメンバーと話してもらったり、適性診断結果のフィードバックをしたり、さまざまなことを試して、良かったものを継続しています。最近では、Slackでどんなやりとりをしているかをシェアしたりもしていますね。
■Slackのやりとりをシェアする理由とは?
― なぜ、Slackでのやりとりをシェアしているのですか?
屋野さん:職場見学は以前からやっていたのですが、職場というリアル空間を知ってもらうのと同時に、Slackなどの情報空間を知ってもらった方がより雰囲気が伝わると思ったからです。なぜなら、職場で仕事はしているものの、コミュニケーションの大半はSlackで行われているからです。
― 特にエンジニアの場合は、そうですよね。どのようにして知ってもらっているのでしょうか?
屋野さん:面接や面談の際に、「どんなチャンネルがあるのか」や、「どんなやりとりが行われているのか?」をお伝えしています。例えば「会社の改善したいところを伝える」や「個人の分報」、「部活動」「なんでも答える」、など、候補者の興味がありそうなチャンネルについて、どのようなやりとりが行われているかを伝えています。面白いのだと「韻をふむチャンネル」なんかもありますね。
― 「なんでも答える」とか「韻をふむチャンネル」ってなんですか?(笑)
屋野さん:「なんでも答える」は、技術に関してタブーな質問が無く、何でも聞いていいというチャンネルです。『こんな事聞いてもいいのかな?』というハードルを下げたいと思って出来たチャンネルです。「韻をふむ」は、その名の通り、仕事の息抜きに韻を踏んでいるチャンネルです。(笑)
― オモシロいですね!確かにSlackにどんなチャンネルがあって、どんなやりとりが行われているのかを伝えると、会社の雰囲気が伝わりそうですね。
屋野さん:そうですね。実際に候補者の方も雰囲気を感じてくれていると思います!
― 職場見学でリアルな空間、Slackで情報空間のコミュニケーションを知ってもらうことにより、会社の雰囲気をより感じてもらうことができそうですね!それでは、最後に採用において大切だと考えていることを教えていただけますでしょうか?
■採用において大切な2つのこと
屋野さん:はい、最近は特に2つのことが大切だと思っています。
1つ目は、採用に現場を出来るだけ巻き込むことです。配属後、実際に入社した人と多くの時間を共にするのは現場のメンバーです。入社前に現場との接点が多ければミスマッチも少なくなりますし、入社後のフォローもスムーズに行えます。そのために、採用担当者は現場のメンバーと多くのコミュニケーションをとり、現場が採用に携わりたいと思ってもらえる状況を作るべきだと思います。採用に関する課題や自社の魅力の種は現場に沢山落ちていますしね。
2つ目は、常に今の採用手法はベストではないと考えることです。この変化の激しい時代、採用手法のスタンダードも候補者の思考も変わり続けています。今上手くいっていたとしても、新しい手法を試し続けるべきだと思います。最近、注目している手法はワークサンプルです。採用後の仕事内容のミスマッチ問題を解決できるいい手法だと思っています。
― 屋野さま、採用において大切なことを教えていただき、ありがとうございます!本日は、今までのご経験を踏まえた貴重なお話しをありがとうございました!
■取材後記
今回の屋野さまへの取材を通して感じたのは、採用に対する謙虚さでした。決して、はじめから採用がうまくいっていた訳ではないし、今の採用手法がベストではないとの言葉から感じられました。
「今の採用手法がベストではない」と考えることにより、職場見学だけではなく、Slackの中の情報空間を知ってもらった方が、より雰囲気が伝わるという発想が生まれたのだと思います。
昨今、採用のミスマッチ問題が叫ばれていますが、今回の取材を通じて採用のミスマッチが問題なのではなく、採用のミスマッチ問題を認識しているものの、問題の原因を分析し、解決に向けたアクションを起こしていないことが問題ではないかと感じました。
体験入社事務局
~いい企業を増やし、適職に巡り合い、仕事の喜びを感じる人を増やす~
(取材・撮影/体験入社事務局 取材チーム)